2007年03月31日

ソー公園

Parc de Sceaux 1.jpgパリから地下鉄の郊外駅にある、ソー公園(Parc de Sceaux)に行った。 

入ってみて驚いた。典型的なフランス風庭園だそうだが、間が抜けるほどにデカイのである。ル・ノートルが、自身が作ったベルサイユをまねて「ミニ・ベルサイユ」を造園したのだそうだが、それでも180平方メートルというサイズである。ルーブルにしても新副都心ディファンスにしても、デカサはフランスの専売特許と言っていいだろう。

Parc de Sceaux 2.jpgルイ14世の宰相コルベールが住んだ城館の庭(!)だそうだ。ル・ノートルは自然の地形を利用して造ったという。城館に庭をつけた、というより、山か丘のなかに館を建てて、残りをフランス庭園にしたといったほうが、適切だろう。

Parc de Sceaux 3.jpg

しかも、キリコの絵のように刈り込んだこの木々はなんなのか。日本的な「庭」の概念からほど遠い、自然をねじ伏せる「フランス庭園」の一例なのであろう。


Parc de Sceaux 4.jpg園内を一周し階段状の噴水のところに来て、やっと庭らしい雰囲気になった。(ただ、その前にある巨大な噴水は、アメリカなら商業施設かテーマパークにあるものだとおもう。)しかし、それにしても、水の使い方が贅沢である。水はいくらでもあるという前提なのだろう。アルハンブラなどのイスラムの館とは一線を画す。

数多くある桜がきれいだと聞いていたが、まだの様であった。

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2007年03月29日

日本の新聞の国際面

 パリに来て、新聞といえば、インターナショナル・ヘラルドトリビューン(IHT)紙ばかり読む。フランス語の新聞は、残念ながら歯が立たないので(情けない)、たまに目を通すくらいだ。

 この新聞IHTは、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙が親会社なので、ニュースがかぶることが多い。しかし、それでももともとヨーロッパにいるアメリカ人を含む英語国民を対象として生まれた新聞なので、ヨーロッパ諸国についてのニュースはカバーがしっかりしている。いやヨーロッパばかりではない。中東やアフリカについても最低限(と思う)であってもちゃんと情報を伝えている。

 そんな新聞を毎日読んで、時々インターネットで日本の新聞を読むと、日本はどんなメジャー紙でも国際面作りがとても貧弱だと思わずにはいられない。まず、発行されている紙面のページ数が、朝日新聞でもIHT紙の3分の1ほどである。

 明らかに海外のAPAFPを訳して(しかも部分だけ)いるのを読んだりすると、これで海外に駐在員・特派員を送っているメディアなのか、とため息が出る。それだけではない。自分に利害関係がないと(すぐには)取り上げない。遠くで起きた対岸の火事的な出来事ばかりでなく、近隣のアジアで起こったものでもそうらしいのである。最近は、中国やフィリピンなど、アジアでの出来事を日本での新聞のインターネット版よりも、NYT紙インターネット版で早く読むことが多い。
 

なんでも早ければいいものではないが、新聞(特にインターネット版)は、やはり速さが売り物だろう。朝日新聞のインターネット版は、それより数時間遅れていたと思う。(さらに厳密に言うと、ポスティングに「表示した時間」(数時間の遅れ)よりも、実際のアップは遅れていたと思う。)


 たとえば、328日にフィリピンで34人の人質をとってバス・ハイジャック事件が起き、10時間ほど後に人質は解放された事件がそうであった(犯人の動機は、デイケアにいる145人の貧しい子どもたちの教育環境改善を要求してのものだった)。NYT紙インターネット版は、それをほぼリアルタイムで伝えた。次の記事の日付は、両方とも28日である。最初のはロイターの配信記事だが、2番目のはマニラにいるカルロス・コンデ記者の記事である。フィリピンで事件が起きたのは世界標準時で1時、人質が解放されたのが10時間後の11時である。事件はほぼ3時間の差で、論評記事も5時間ほどの差で伝えている。 
Children Freed as Philippine Hostage Drama Ends
By REUTERS
Published: March 28, 2007
Filed at 9:14 a.m. ET (世界標準時1414
http://www.nytimes.com/reuters/news/news-philippines-hostages.html 

Children Held in Manila Bus Siege Are Release
By CARLOS H. CONDE
Published: March 28, 2007
http://www.nytimes.com/2007/03/28/world/asia/28cnd-phils.html?ref=asia
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2007年03月22日

酔いにまかせて日本のグチ

 ほぼ半徹夜の仕事が続いて、それがやっと終わった。昨夜(今朝)は、5時まで仕事をしていた。今日は、仕事がないので、昼間から酒をグビグビ飲んでいる。 

 人間、こうしてクズになります。注意しましょう。

酔いに任せて、勝手なことを。
 

時間に終われるような毎日だったが、そういうときに限って、下らないウェブサイトをのぞきたくなるのはなんなのだろうか。 ある有名作家の小説を叩くブログが気になって読んだりする。この老作家の書く文章、ボキャブラリーが貧しく、プロットはありきたりで、昔のもののリサイクルばっかだ。ウリは、不倫の成り行きと情交描写だそうだ。
 しかし、出てくる女には性の歓び以外の感情が描かれておらず、したがって、男女の会話はあっても、あっと言わせるやりとりなどない。こころの交流どころか、驚くような「異性」の発見も、深い自己反省も。昔から避けていたが、最近またちょっと読んでみて、さらに悪くなったと思った。 
 
 こんな作家が、なんで日本で売れるのか理解できない。たしかに、批判的な人も最近では増えて、ついこのあいだ出版された本はあまり売れなかったというが、それでも40万部である。一部の中年のおば様などにも人気があるというから、彼女たちはいたい何を考えているのだろう……わからん。 

 こういう作家にも編集部がついているのだろう。彼らはプロなのに、明らかにツジツマが合わないこと、日付の間違い、言葉の誤りを、なぜ指摘しないんだろう。相手が大御所の老作家ゆえ、腰が引けているのか……わからん。しかも、この作家、有名な賞の選考委員だという。彼のためにいい小説を没にされる優れた物書きもあったろう。腹が立つことである。

    この作家を叩く・持ち上げるブログというのも、よくわからない。この手のサイトをしばらく覗いていると、書き込む人たちが、みな同じような意見に同調していくのが手に取るように分る。意見が会わない人を「意見が違うなら、じゃ出て行けば」と追い出すのだ。仲良しクラブ化していくのだ。

 先日、パリに30年以上住んでいる日本人と話していた時のことだ。彼は、時々、日本の政治関係のブログを覗くことがあるが、「仲良しクラブ化」していることに驚くという。意見が違う人と話すからこそ、インターネットの価値があるのに、と言っていた。

 それも、まあ、おれの好みの話であるから、いいとして。
 その他にも、いろいろ気づいたことを。 

 20日の深夜、厚労省はタミフルの10代の服用制限を制限する通達を出したが、厚労省は、あいかわらず、服用と飛び降り・転落事故による死亡を含む異常行動の因果関係については否定的だった(22日に「否定」を撤回)。

http://www.asahi.com/special/070320/TKY200703200508.html 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070321-00000005-mai-soci 

 しかし、その「否定」の根拠とされる、横田教授を中心とする研究班の調査は、どう考えてもおかしい。研究班は、06年の冬、患者約2800人を対象に調査を実施し、服用者・非服用者で統計学的な差はなかったとした。しかし、この患者の8割が10歳未満であった。047月以来、15件の10代の異常行動が報告されていたのにである。これだけの数の異常行動を知っていながら、調査対象に半分も10代を入れないのが科学的にも基本を無視しているのは、素人でもわかる。
http://www.asahi.com/special/070320/TKY200703210225.html 

 横田教授は、タミフルの販売元中外製薬から金をもらっていることが判明した。論理的には、「なら、こんな意図的な調査は……」とは、子どもでも分りそうなものだが、いつもハイエナのようなマスコミも、このことをあまり叩いているようには見えない。「あるある」ではあんなに叩いたのに。朝日の社説なんかも、軟弱。……わからん。 

  ついでにいうと、イシハラ氏がまた都知事選に出るそうな。三選目である。あんな子どもみたいな人に票を入れた都民も、わからん。

 というわけで、また酒を注ぐ。
 人間、こうしてクズになります。注意しましょう。

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2007年03月20日

春の音連れ

夕方、仕事をしていた。

窓の外に、「さーーっ」という音。

顔を上げると、すごい驟雨。今朝から冬に戻ったかのような寒さだったが、ついに雹のような雨である。 

夕方だが、この季節になると、パリはなかなか暮れない。西の地平線には、垂れ込めた雲の下に明るさが煙っている。煙った雲々が太陽を背景にオレンジ色に光るさまは、ターナーの絵のようだ。 

Promnade3.jpgその灰色だが透明な雨の中に、向かいの建物の最上階の屋根が、青く浮き上がっている。
そうだ、たしかにこれは青かったのだ。しかし、この雨の中で見るまでは、気に留めもしなかった。 

パリの空の下、時間が止まり、
物モノの呼吸が聞こえるようだった。
パリの春の「訪れ」ではない、「音連れ」。

     パリの屋根借りて雨音春近し

おそまつ。服部土芳の『三冊子』によれば、季語「春の雨」(陰暦正月から二月初めに降る雨)と、「春雨」(二月末から三月にかけての雨)は区別されるんだそうだ。

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2007年03月17日

エスプレッソマシン来る

コーヒーもちゃんと作れねえやつは、ただのコーヒー飲みさ。

アメリカにいた頃から、エスプレッソ・マシンを持つことは、長年の夢だったんだな。
アメリカは「アメリカン・コーヒー」なんぞを飲む国だ。ちゃんとしたコーヒーを作る機械さえ、売っちゃいねえ。
日本もまた、変わった国でな。こういうのはマニアックがやるものだと決めつけて、バカ高い値をつけやがる。

で、ここコーヒーの本場フランスで、ついにその夢がかなったというわけさ。
ブランドは、もちろんイタリアのデロンギ製。
蛇の道は蛇ってな。
よく言ったものさ。
エスプレッソ・マシンにかけちゃ、その道の通と知られている会社さ。
さすが、良い腕してるぜ。

フランスのじゃ、製品に対するプライドが感じらんねえ。

オレが惚れるのは、職人のモノさ。

スリークな、セクシーなまでに黒光りする胴体。
コーヒーメーカーとエスプレッソ器、そしてカプチーノ用のノズルの、一直線に並んだ理想的な配置。
効率よく仲よく並んで入るよう設計された、2つのウォーター・タンク。

エスプレッソのフィルター・ホールダーにさり気なく付けられた取っ手のつかみ易さ。
そして、むだなく最低限に抑えられた、スイッチたち。

エスプレッソの圧力も、なにげなく15気圧。
そのわきに、コーヒーメーカーもついていて、それは、ちゃーんと2気圧から4.8気圧までの調節機能が付いている。コーヒーを、お好みに合わせて濃くも薄くもできるってスンポウだ。
これに、イタリアの伝説のエンジン、フォルヴォーレをつけてやりたいとこだったが、許してやらあ。ガハハハハハ。

ぁて、一杯やるか……
これから、おれが「一杯」と言ったら、エスプレッソのことだと思ってくんな。
これを飲みながら、想い描くのは……
ローマの街角に流れる夕刻の鐘の音。
夕陽にかがやく金色の石畳に映える人々の影。
美しい女たち。
ガハハハハハ。

コーヒーもちゃんと作れねえやつは、ただのコーヒー飲みさ。

(フォルヴォーレは、高精度かつ、今となっては数が少なく貴重なパーツで構成した飛行機のエンジンです。著者の言うことを信じないように。)

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2007年03月16日

花見

旅行で散財したので金がない。
で、今日もサンドイッチだ。
旨いパン屋のを選んで買うが、
さすがに毎日ではウンザリしてきた。 

「食卓に、華がない……」。 

ついでに、スーパーで
野菜ジュースとミルクを買って、
出ようとした瞬間、
そこに、黄色い花が立っていた――。 

いや、花が立っているのではなく、
黄色い花の束をかかえた、ジプシーの女。
あかるい光の中で、花が、
街を、いっきに春に変えた。 

スイセン。この時期の花である。
花どうしが半球状になるように、
まとめて束にし、
真ん中から緑の葉ッパを何本か出している。 

2週間ほど前、道を急ぎ足で行く爺さんが
おなじものを持っていて、
なかなかシャレた光景だな
と思ったりしたものだった。 

うむ。
悪くないかもしれん。
ジプシーの女に2ユーロ渡し
一束、わしづかみに、
そのまま持って帰る。 

ビールマグに突っ込んで
テーブルの上に置いた。
たちまち、部屋中に
花は、あかるい光線を放ちだした。 

ジプシーの手から受けた春の花。
こんな花見も、悪くない。
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2007年03月10日

思いやり

近くの公園は、とても手が行き届いていて、人々の憩いの場となっている。

今日、そこを通り過ぎると、花壇のわきで男が女性に頭を刈ってもらっている。
男は、一見、かなりみすぼらしい。
女性は、近所のおばさん風である。 

まさか、とおもったら、やはりジャックだった。
かれは、ホームレスにしては、髪の毛もヒゲも、いつもちゃんとしていると思ったが、
そういうことだったか。
フランス人のご近所の思いやりも、なかなかだ。
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2007年03月09日

マドリッドで

スペイン旅行から帰ってきた。
今回の旅行では、やたら神経が研ぎ澄まされた。
言葉も話せない新しい土地に行くと、そういうことがある。犯罪(といってもスリぐらいだそうだが)が少なくない場所柄のせいもあるのか。
もっとこういう旅行をしないと、精神がだらけて鈍感になっていくばかりということもあるかもしれない。 

最後の夜は、マドリッドで、ハム・肉を専門に売る店に入り、ビールを一杯やりながら、ハムで夕食をとった。
大きなリュックを背負ったまま、店に入っていって、席に座ろうとした。
そしたら、店員の女に奥のはしっこの席を指差された。
ナプキンもグラスもセットしていないテーブルだ。他のは、布のナプキンを含めて、きれいに全部セットしてある。
そのうちの一つに勝手に座ろうとすると、もう一人の若い男が何か強い調子で言って、アゴで奥を示した。
二人とも、肌が褐色だ。
南米からの移民系なのだろう。マドリッドには、南米からの移民が多いのだ。 

仕方なく、指定されたところに座る。

頭の上で、テレビが大きな音を出している。

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2007年03月08日

スペイン、アンダルシア紀行

Spain-Alhambra2.jpg3日から一週間弱、スペインのマドリッドを経て、グラナダ、コルドヴァ、セビリアと典型的なアンダルシア紀行をしてきた。こういう長旅は、今の状況では、毎朝、自分の体調の“ご機嫌うかがい”をしつつしなければならないとはいえ、南の太陽の光を浴びられるのはありがたかった。特に、冬に逆戻りのいまのパリにいては。

写真狂い(ビジュアル傾向が強い)なので、500枚は写真を撮ったろうか。そのうちの“観光写真”的なものをここにアップ。


最初は、グラナダ。もちろん、お目当てはアルハンブラ宮殿だった。イスラム文化は、筆舌に絶するほど、スゲエ文化である。キリスト教文化を知り尽くしているわけではないが、このイスラムの美学の前ではまさに影が薄くなる、と感じる。

Spain-Alhambra1.jpgチケットはあらかじめインターネットで予約しておき、朝一番で入場し、ほとんど閉場まで歩き回った。オフシーズンなのか人は少なかったようだが、それでも人気の部屋は、たいへんな混みようであった。日本人と韓国人、中国人(?)のツアーが次から次へと入ってきた(そして、本当に見る時間があったのか、と思うぐらいすばやく出て行った)。

繊細さ、正確さというだけでなく、この細部と記号と 繰り返しへのパワフルなコダワリは、なんなのだろう。排除と抱合……。

水の使い方も、入り口の配置(それゆえ、空間の囲い方)も、すばらしい。こちらが消化しきれないほどである。この意味がわかるまでは、たいへんな時間がかかるような気がする。
 
Spain-Flamenco1.jpg夜は、勧められて、ジプシーのフラメンコを観た。アルバイシン地区というモロッコ人街を中心にしたイスラム教徒地区(?)の奥にある、ジプシー洞穴型住居でやっている。夜は、特に危険らしく、ホテルからバスで送り迎えされていくのである。


会場は、日本人ツアーで一杯であった。日本から、バルセロナを経て、アンダルシアのあちこちのフラメンコを観て回るツアーなのだそうだ。時差ぼけのせいか、居眠りしている人ばかりで活気がまったくなく(そうでなくても、日本人はもの静かだが)、その中で踊らなくてはならないフラメンコのお姐さんたちが、ほんとうに可哀そうであった。実際、ある一人の娘さんは踊るのがイヤでしょうがないという風情だった。特にジプシーのような踊り手は、観客からの反応で、意欲も違うのだろうか。

フラメンコというのは、男もやるのである。そのステップがすごかった。家族経営のお母さんらしき人の歌、おばあさんらしき人のカスタネット、どれもサスガと思わせるものだった。 Spain-Mezquita1.jpg


この項、続く。(この同じ日付に)

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