2010年04月17日

中国地震・兵士の“救出活動”の実態(?)

 今日は、気温も高かったので、パコを、初めて乳母車にのせて連れ出してみた。しかし、彼女はいつも寝てばかりいて、まだ残っている桜の花びらなぞに気も留めない。乳母車とか車とか、振動が気持ちいいんだろうが。

 中国の青海省で地震があり、その悲惨な状態はテレビでの報道されている。地震から何日かたった今でも、建物の瓦礫の下から幼い女の子が救い出されるという感動的なシーンも放映されている。TVでは、中国の軍服を着た男たちが救出する場面が流れていた。

 このシーン、ニューヨーク・タイムズ紙によると、実は、チベットの僧侶たちがほとんどをしていたのだそうだ。記事によると、それまで学校の校庭でブラブラしていた兵士は、幼児が見つかったとなると、僧侶たちを追いやり、救助だけを行ったという。こういう、カメラに映る場面だけ“救援活動”にいそしむ中国兵士たちに、チベットの僧侶たちは、不満・不信を募らせている、とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。
http://www.nytimes.com/2010/04/18/world/asia/18quake.html?ref=global-home 

 中国のこれまでのやり方を考えると、驚かない(ニューヨーク・タイムズ紙の報道は、どうも、ねつ造とは思えない)、と言わざるをえないのだが、こういう時は、上のようなシーンを無邪気に報道する日本のメディアの性質も明らかになるものである。
posted by ろじ at 00:00| パリ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月23日

日食

 日食は、フランスのTVメディアはさらりとした扱いのように見える。まあ、大々的に見えたのはアジア・太平洋地区だからしかたないが。

 しかし、『パリジャン』紙に、昨日の日食の時のすばらしい写真があった。インドで、長い髭を生やし伝統的衣装を着た男性が日食観察用ゴーグルをかけている。そのミスマッチが、今の時代を映しているようだ。New York Times系の新聞には、もっと感動的な写真があった(AP Photo/Rajesh Kumar Singh)。やはりインドで、ガンジス河で湯浴みするインド女性が、日食観察用ゴーグルをかけ、同時に、両手を合わせて拝んでいるのである。偉大な自然のスペクタクルは、人々をふだん以上に敬虔な気持ちにさせるということか。
(写真は以下のサイトに。他の写真も。http://www.boston.com/bigpicture/2009/07/the_longest_solar_eclipse_of_t.html
posted by ろじ at 00:00| パリ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

ギリシアの島(改)

09春ギリシア・イドラ島1

 8日から12日まで、アテネ経由で、ずっと行きたかったギリシアの小島、エギナ島、ポロス島、イドラ島で写真をたくさん撮ってきた(上の写真はイドラ島)。
白い石と青い窓と太陽の島。

 道端ですれちがう人に「ヤーサス(こんにちは)」と挨拶すると、必ず「ヤーサス」と優しく返してくれる。店でもどこでもそうである。「エフファリストー(ありがとう)」と言うと、笑顔で同じく返してくれる。

 老人がたくさんカフェに座って、陽にあたりながらコーヒーを飲んでいる。どの犬も地面に両足を投げ出して眠っていて、近くに行っても眼を覚まさない。どちらも、住み心地の良い土地柄である証拠だ。

 島は、ちょうど観光シーズンに入ったばかりというところ。島へ行くクルーズ船は日本人とスペイン人で一杯だった。

 アテネの街は数千年の歴史の遺跡で埋もれていたが、なにか当たり前すぎて感動らしい感動が無い。もちろん、長い間、見たいと願っていたものなのだが。アテネの町で雇ったガイドが、「ネオ・クラシックは奇麗でしょう」と、100年くらいの建物をやたら自慢するので、困った。そんなのなら、どこにでもあるだろう。
 夜、テント下の庶民的な食堂で飯を喰う。ケバブもビールも美味い。ジプシー(ロマの民)らしき女の子が、土地の土産を手に下げて売りに来る。殺人的なほど可愛らしい目つきをして懇願する。末おそろしや。
アテネ夜景1
アテネの夜景。「夕陽を背景にアクロポリスがきれいです」とガイドに言われて来てみたが、この時期、夕陽とアクロポリスは45度くらい方向が違う。ちっ、騙された、と思ったが、何千年という歴史の古さが街にただよっていると勝手に思い込んで、悪い気はしない。

ミケーネ遺跡1
「シュリーマンの夢」ミケーネ遺跡
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月14日

金融機関の欲深さ、英国も

 「あなたは、他の銀行家とは違った倫理的コンパスをもっているのかね?」

 この経済危機の折、アメリカの経済界のトップがどこまでグリーディーさに感覚がマヒしてるのかのいい例として、銀行のトップが自らに大枚のボーナスを支給しようとしてオバマ大統領に叱られた話を、2月4日のエントリーに書いた。
http://dokugo.seesaa.net/article/113818823.html

 それと、似たような話が、英国にもあった。つまり、銀行界のトップの感覚が常識とズレているのは、アメリカに限ったことではないということだ。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙の11日付の記事によれば、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland(以下RBSと略))を含め、危機に陥った大手金融機関らが400億ポンド(約580億ドル)近くの政府援助をもらう段になって、そのトップ達が自らに高額のボーナスを払おうとしているのが発覚した。上に引用された発現は、議会に呼び出されたRBSの元主任取締役のフレッド・グッドウィン氏に、ある議員が質問した言葉である。
Grilled, U.K. bankers find sorry isn’t enough (ネットの記事では「British bankers face the sharp end of Parliament」と題されている。)
http://www.iht.com/articles/2009/02/10/business/ukbanks.php
(参考: 英、大手3行を実質国有化 6兆4千億円の資本注入発表
http://www.asahi.com/special/08017/TKY200810130157.html?ref=reca) 

 RBSは、その経営が悪化したため、去年の11月に政府が救済措置を決めた。最大2300人の人員削減も決め、組合と話し合いに入ると発表した。しかし、その直後に、この非常識なボーナスが発覚したらしい。銀行の危機管理担当が、銀行側に危険なローンが多すぎると警告していたが無視され続けた、と証言したとも報じられている。ゴードン・ブラウン首相は、イギリスにあるボーナス文化を払拭しなければならないと言ったそうだと伝えられている
(参考: 英銀RBSが最大2300人を追加削減へ、国内従業員の2%(09年2月11日付)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200902110008.html
英銀大手HBOS、1.3兆円赤字 12月期見通し(2月14日付)
http://www.asahi.com/business/update/0214/TKY200902130402.html

 アメリカでもイギリスでも銀行界のトップの感覚はズレている。経済界と密に繋がる政界も、それは例外ではないだろう。ご存知の通り、日本もしかり。だが、前の二つの国の政府は、少なくとも、国民を前にしてどう振る舞ったらいいか、どういうポーズを取ったらいいかを知っている。しかし、もう一つの国の政府は、いまだに自らが国民の代表であることさえも知らないらしい……。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月19日

オバマ新大統領に関連するヨーロッパでの報道

 先週の金曜日、RER(郊外への高速鉄道)線のC線に乗っていたら、突然アナウンスがあって、「途中のInvalid駅は、外でデモがあるので出口から出られない」と告げられた。パリは最近もデモ続きだが、これはサルコジの教育改革に反対するデモである。

 土曜日の午後も、ニュースによれば、パリの街の通りは、教育改革に反対するデモで高校生や大学生で溢れたらしい。

 その他のデモも、この週末から月曜にかけてパリであった。ガザ攻撃に反対するデモはずっとあり、先週は、同様のデモがヨーロッパ中で行われたと報じていた。それとは別に、ブッシュ米政権の「グアンタナモ基地収容」を批判し、オバマ新政権にその中止を呼びかけるデモである。グアンタナモ基地に収容された「容疑者」と同じオレンジ色の服を着たメンバーが何人も、手錠に繋がれたまま歩き、最後に檻の中に入る――というシーンをニュースは報道していた。

 オバマ新大統領に関するものは、パリでは、表面的には静かなものである。オバマ氏の精悍な写真が載った雑誌の広告や、これを機に商売で一儲けしようという「オバマ商品」の広告が、街に貼られているくらいだ。就任式前日の今日になって、ニュースは、アメリカの「興奮」(おそらく多くは、初めての黒人大統領であること)、ヨーロッパ各地からの「安堵」「喜び」(多くは、ブッシュ政権に終止符が打たれることに対する)が伝えられた。

 「ユーロ・ニュース」を観ていたら、日本の映像も流れた。それは、オバマ氏の顔の「被り物」を作る工場の映像だった。日本でのオバマ新大統領就任を祝い方はこのようである、とでも言うように――。それは否応なく他の国のニュースと比較されてしまって、どうにも情けなく見えてくる……。

 「オバマ被り物」を楽しげに報じる似たような記事は、朝日新聞にもあった。新聞は同時に、国会で民主党の議員が首相に漢字が読めるかとマジメに質問をした(!)と報じていたが、その「情けなさ」は、この「国会議員」の幼稚さと、みごとに呼応した。この重要な時期に……。この政治家にしてこの国あり――。そしてこのメディアにしてこの国あり――。

 先週末、フランス政府は、TV、ラジオ、インターネットでの「反ユダヤ的な表現」を取り締まることを決めたという。イスラエルのガザ侵攻(攻撃)以来、各地でユダヤ人攻撃が起きているという。先週の木曜日、パリ郊外で、顔を覆った二人連れが、ユダヤ人の若者を反ユダヤ的な脅しをした上で刺したという事件が起きた。世界の他の国は、「今そこにある危機」と同時進行形で進んでいる。
http://www.iht.com/articles/2009/01/16/europe/16elysee-FW-409718.php

posted by ろじ at 00:00| パリ ☁ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月09日

無神論のバス広告

無神論者のバス広告

 広告ならば、どんなに事実に反することを載せてもいいのだろうか? それには限度があるだろう。もしある人が殺人者だと事実でもないのに大きく書きたてれば、それは、その人の名誉を傷つけることにもなるだろう。では、宗教的な信念の場合は? それについて、昨日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙に、おもしろい記事があった(写真は記事より)。
http://www.iht.com/articles/2009/01/07/europe/07london.php

 無神論者が、市内を走るバスに「神はいない」という広告を出す運動(キャンペーン)を始めたのだ。企画者たちは、それでせいぜい8000ドルくらいしか集まらないだろう、と予想していた。が、あにはからんや、蓋を開けてみれば、著名な科学者(Richard Dawkins)、哲学者(A.C. Grayling)、British Humanist Association などから寄付が相次ぎ、たった4日で15万ドルを越え、ついには20万ドルを越えてしまったという。

 そこで、似たような広告をイギリス全土で800のバスにつけることにした。いわく「たぶん、神はいません。気にするのはやめて、人生を楽しみましょう」。広告ガイドラインがあるため、全体を灰色にする表現「たぶん」をつける必要があった、と記事は指摘している。

 この広告を見て眉をひそめる人も当然いるが、一方で、「表現の自由」がはっきり行使されるのをみるのは嬉しい、という人もいたそうだ。ロンドンのバス広告を担当するTim Bleakley氏( Managing director for sales and marketing at CBS Outdoor in London)の言が実に頼もしい。
宗教団体が自分たちを宣伝することもあります。もし宗教を信じない人がいるのなら、宗教信奉者と逆の考え方を促がす広告を出していけないということはないでしょう」。
イギリス社会の懐の深さを垣間見たように思う。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月07日

ロンドン・ガザ爆撃に抗議する集会

 今日は、予想されたほど寒くはなかった。

 さて、ロンドンで、ナショナル・ギャラリーに行こうとして、その前のトラファルガー広場を通った時のこと。

 この広場は真ん中に、噴水に囲まれてネルソン記念柱が建っているのだが、夕方近く、通り過ぎようとすると、夕焼けに浮かぶネルソン記念柱の向こうに整列した集団が見えた。広場の周りの道路にはプラカードが落ち、ビラを配る人もいる。整列した集団は一方向を向いてお辞儀をしている。その後ろに貼られた幕から、これがイスラエルのガザ爆撃に抗議する集会であることがすぐにわかった。

 整列した集団は、夕方の礼拝をしているようだった。そこに、カメラを持った男性が近づいてきた。あっという間にセキュリティーらしい集団に取り囲まれた。フィルムを取り上げるかのような強い制止の仕方である。むやみに顔写真を撮ろうとするのを禁止しているのだろう。

 そこを通り過ぎてナショナル・ギャラリーへの階段を登ろうとすると、そこにはスカーフ、へジャブを被った女性のグループがいた。

 この広場は2度目だが、思えば、十数年前に初めてこのトラファルガー広場に来た時も、抗議行動のデモに出会った。当時のチリ大統領、ピノチェトの独裁と残虐行為に抗議する人々で、群集がトラファルガー広場全体を埋め尽くしていた。当時、金がないのにロンドンに貧乏旅行に来て、何も喰わずに街を歩き廻っていてその熱気に遭遇し、一種みょうな感動をしたのだった。
posted by ろじ at 00:00| パリ | TrackBack(0) | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

福田首相辞任はさほどニュースにならず

 福田首相辞任のニュース。こちらでは、軽く触れるだけだ(「日本を驚かした」という口調だが)。どうせ、何をやっても変らないだろう、という読みが支配的のようだ。日本には経済のインパクトは期待しても政治的リーダーシップは期待していない、ということなのだろう。

 日本社会が、トップだけでは変らず、「グローバル化」とか「競争社会」とかを口にしながら経済界は横並びの口あわせを利用し、社会の深いところで旧態依然とした価値観が幅を利かせ、官僚システムや社会の構造自体が頑強に変ろうとせず、多くの有権者が政府を変革・批判しに投票に行かないことをちゃんと理解している。
Little change expected in Japan after Fukuda resignation
http://www.iht.com/articles/2008/09/02/asia/japan.php?pass=true
  それよりも、タイの政情不安定による暴動、グルジア問題に端を発するロシアとEUとの緊張関係、インドの洪水危機のなど方が、世界を揺り動かす重要な事件として報じられている。「日本」で繰り返し報道されているのは、むしろ、宮崎駿監督がヴェニスに来ていることくらいか。

 ただ、ドイツの「南ドイツ新聞」におもしろい記事が載っている(時事通信社経由)。
【ベルリン2日時事】2日付の独紙南ドイツ新聞は、福田康夫首相の辞意表明について「福田首相が挫折したのではなく、自民党のシステムが崩壊過程にある」との論評を掲載した。

 同紙は、現在の自民党について「特定のイデオロギーや政治方針、住民グループを代表しておらず、権力やそれがもたらす金にしがみついているだけだ」と批判、長期政権による弊害を強調した。 
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/jiji-080902X510.html?fr=rk
  南ドイツ新聞は、自民党が「特定のイデオロギーや政治方針、住民グループを代表しておらず、権力やそれがもたらす金にしがみついているだけだ」と指摘したのは正しい思う。間違っているのは、それが「現在の自民党」だけではなくずっとそうだったこと、他の党も同じようなもの、だということだ。

おまけ:昨日、テレビで観たフランス映画(テレビ映画?)『パパラッツィ』(Canal Plus 制作)に、サルコジ仏大統領夫人のカーラ・ブルーニが出ていた(写真を撮られる有名人の役)。しばらく前にできたのだろうけど、この映画、有名映画人もたくさん出ていた。内容は、ある男がたまたまパパラッツィに写真を撮られたことをきっかけに、モラルを犯して仕事するパパラッツィにみずから加担して行く様子。テンポ良くできてた。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☀| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月23日

メダル数

 オリンピックの「メダル数」が話題に上るが、それを報じるテレビの「ユーロ・ニュースEuro News」でのこと。

ユーロ・エッフェル1 中国、アメリカ合衆国……とランクを上げたその一番下に、「Euro」。たしかに金メダルの数は中国やアメリカ合衆国を抜いてダントツ1位だが、それはないだろ。なら、アジア圏とか地中海圏とか、オセアニア経済圏とかアリなのかね。いや、アフリカ連合AUとか、太平洋経済圏とか許したら、EUもまったく勝てないんじゃないか。

 こういう「てまえ勝手なルール解釈」は、フランスでならば驚かない。そういえば、現在、サルコジがEU議長になってるが、それと関係あるのかね?
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月21日

アウシュヴィッツ訪問と南オセチア報道

 この8月中旬は、ポーランドの古都クラコフに小旅行をしてきまた。クラコフの郊外50キロほどのところにある「アウシュヴィッツ」(ポーランド名「オシフィエンチム」)を訪れるためでした。

 この時期は自分の誕生日もあり、それが心に残る何かにもなると思ったのです。長いあいだ、ぜひとも訪れてみたいと思っていました。それは、有名な本『夜と霧』を手にした頃からだったでしょうか。若い頃、そのくだりを朝日新聞の「天声人語」で初めて読んだときの衝撃は、今でもはっきり覚えています。

 クラコフからバスで1時間半、いくつかの町と森を抜けて、たどり着いた「それ」は、雨模様の雲の下に、静かに建っていました。朝10時前だというのに、すでに館内には多くの人が訪れていました。今回のために、ここで日本語ガイドをされている中谷剛氏の『アウシュヴィッツ博物館案内』(凱風社)に眼を通していました。

 3時間の英語のガイドツアーに参加しました。記録映画を観た後、第一強制収容所である「アウシュヴィッツ」から、第二強制収容所の「ビルケナウ」をまわるツアー。小柄なポーランド人女性が、感情を抑えたようすで、ナチスが領土侵犯戦争とともに行った残虐行為の事実を正確に粛々と説明していきます。何度か、その静かに澄んだ眼で、「この事実の意味を、良く考えてみてください」と、語りかけてきました。

 多くの心に深く残る写真と風景。いかに、自分がこれまで精神的支点のない生活を送ってきたかを、思い知らされました――と書くとキザですが、自分の生活にあまりに多い無駄と贅沢と甘えを削って行こうと思ったのは事実。クラコフに帰るバスの中では、さまざまなことを考えました。

 その夜、ホテルでテレビを観ていると、南オセチアのことを報じてたので引き入れられました。ところが、その報道の調子が「グルジアに抑圧されていた南オセチアの人々を、ロシアの軍は解放し、救助活動をしています」というトーンなのです。グルジアが行った「蛮行」と同時に、南オセチア住民の「ロシアに感謝する声」をも伝えています。(たぶんロシア政府よりの)「Russian Today」というテレビ局でした。南オセチア近くから命からがら逃げてきたアメリカ人の少女が、アメリカのFOXテレビでグルジアがいかにひどい行為をしていたかを話す場面が、FOXテレビによってカットされるシーンも報道されていました。

 チャンネルを回すと、CNNは、ロシア軍の南オセチアとその周辺での一方的な「侵犯行為」「殺戮行為」を報じています。イギリス軍の兵士がロシア軍の「協定違反行為」を指摘するシーンや、ブッシュが「南オセチアはグルジアの領土であると国連で認められており、ロシアはこの国際的認識を尊重すべきである」と発言するスピーチも。チャンネルをRussian Todayに戻すと、「これは報道合戦の様相を呈しています」と解説しています。そう、これは、完全な報道合戦なのです。

 日本ではどう報じられているかは知らないのですが、報道の仕方によって、「伝えられる事実」がまったく異なるのを、如実に目の当たりにしました。どれだけ、私たちの「事実認識」「世界観」というものがメディアによって影響されていることか――を、あらためて考えさせられました。

 他の局は……とチャンネルを回してみると、「アル・ジャジーラ」の英語版テレビで、上の双方の報道振りを報じているのです。そして、「本当の事実」をどう理解したらいいのかを、いろいろな学者や政治家に訊いているのでした。グルジアの周辺国リトアニアの政府筋が、この問題の解決のために尽力している、という事実は、この「アル・ジャジーラ」英語版で初めて知ったのです。

 「アル・ジャジーラ」テレビを、本当に見直してしまいました。CNNがアメリカ政府より(FOXほどではないにしても)だとは、このブログでも何度も書いてきましたが、「アル・ジャジーラ」テレビの中立性がこれほどだとは、不勉強で知りませんでした。恥ずかしい。家では「アル・ジャジーラ」英語版が入らないので、これからはネットでフォローして行こうと思います。
 帰宅してネットで調べてみると、日本では、上のFOXテレビの出来事に関して「アメリカのメディアでもそんなことがあるのか」と驚いてみたり、CNNは中立公正だと書いている人が多いようです。やはり情けない。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月13日

アイルランド旅行

 一週間ほど、アイルランドに行ってきた。ダブリンに入り、ダブリンの町を見物する合間に、そこから、北アイルランドに日帰り旅行、その後、西の端のアラン諸島と港町ゴールウェーに行った。

モナスターボイスのハイクロス1 アイルランドは、そのケルト文化、とくに、自然崇拝を基にした独特な宗教について観てみたいと、ずっと思っていたのだ。アイルランドでは、もともとあった自然崇拝の多神教にキリスト教が根づいた。その「多層性」は、その独特な十字架「ハイクロス」に、たとえば観てとることができると言われている。

 その十字架を見るために、日帰りツアーで、アイルランドの北西にあるモナスターボイス教会跡(Monasterboice)とメリフォント修道院跡(Mellifont Abbey)に行った。モナスターボイスには十世紀のものと言われるハイクロスがあり、全面にキリスト教の物語を表わすレリーフが掘られている(右の写真)。これはアイルランドでも最も有名なハイクロス。

 同じツアーでは、ボイン河渓谷の巨石群の一つニューグレンジ (Newgrange)にも訪れる。これは、5000年以上前に造られたという古墳のような巨石の遺跡で、ガイドは「エジプトのピラミッドよりも500年も、ストーンヘンジよりも1000年もはるかに古い」と強調する。このツアー、バスで運転手に説明を受けながら行くのだが、この運転手のおにいさんが、独特のユーモアのセンスがあって、とても面白かった。アイルランド人の性向から、政治・宗教、ダブリンの街の川を挟んでの南北の人々の気質の違いにいたるまで、ややシニカルに、やや自虐ぎみに説明するのである。アイルランド人のシニシズムだろうか。かなり気に入った。

続きを読む
posted by ろじ at 00:00| パリ ☀| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月29日

韓国人を襲う中国人――オリンピックから遠い中国

 28日の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)』紙の第一紙面に、中国人が韓国人を襲う写真が載っていた。「襲う」というより、「飛び上がって強力なケリを入れる」というに近い状況の写真のようだった。(インターネット版では、なぜか写真が違うものになっている。)
Chinese clash with protesters at torch run in Seoul
http://www.iht.com/articles/2008/04/27/asia/torch.php

 これは、オリンピック聖火リレーが韓国のソウルに到着し、それに反対する韓国人が沿道を埋めた時の出来事のようだ。中国のオリンピック聖火は同じアジアの韓国でも完全には受け入れられなかったのだな、と改めて感慨深かった。当たり前のことではあるが。

 これは、友人へのメールにも書いたのだが、聖火リレーも含めて、中国政府・中国人らは、このオリンピックの機会を国威や自分の国を自慢することにしか使っていないように思える。今回の世界中での聖火リレーの時にみられた(フランスに対するネットでの攻撃も)全体主義的行動パターン、今回はっきりと現れたが国内では日常的にある「他人の異なる意見を認めない姿勢」、国内での情報の制限・コントロール――今回の中国人たちの行動は、図らずも、かの国がどれだけ民主主義から遠く、したがって、いかにオリンピックの理想(オリンピックがそれを本当に追求しているならだが)を実現する担い手になりえないかを示してしまったと思う。つまり、中国人たちがこのように行動すればするほど、いかにこの「祭典」の担い手にふさわしくないかを証明してしまうと思う

 友人は「中国人様には、せめて五輪旗も持っていて欲しかった」と書いてきた。たしかに、その通り。しかし、そうした中国人たちはまったくいなかったようだ。それは、上に書いたように、彼らが自国の国威を振り回すことしか頭になかったことを証言していると思う。

 ロンドンからパリを経て日本に来る頃には、「五輪聖火リレー」の催しは、残念だが、中国という政治・制度、そしてそれを担おうとする人々と、チベット解放の声(その背後に中国のこれまでの人権侵害)のあいだ闘いを繰り広げる場になってしまった。これほどのゴタゴタと社会的カオスを作り出した、IOCの痴呆風天真爛漫的独善決定主義の罪は重いと思う。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月24日

中国からの武器、中国へ帰る(?)

 前回書いた、中国からジンバブエへ輸出された武器が南アフリカで荷卸しを拒否された話について追加。話のウラを知らないので、ナイーブな発言になると思うが、もし報道されていることが本当なら、南アフリカの労働組合は、本当に偉いと思う。荷卸しをしないということは、その賃金が手に入らないということだろう。それは、彼らの生活を考えれば、決して楽なことではないに違いない。

 自分の生活や食を犠牲にしても、同胞の生命のため、モラルのために、拒否すべきは拒否する――こういう人たちを「モラルが高い」という。

 さて、その南アフリカで荷卸しが頓挫した武器が、中国へ戻るという。
Chinese Foreign Ministry says arms shipment to Zimbabwe to return
http://www.iht.com/articles/ap/2008/04/24/asia/AS-GEN-China-Zimbabwe.php

Arms shipment meant for Zimbabwe to return to China
http://www.iht.com/articles/2008/04/24/africa/arms.php
 さすがにモラル的にも良いイメージを与えないと思ったのだろう。が、そのまま中国に帰るだろうか。悪いが、わたしは、中国の言うことをそのまま信用はしていない。極端な話、公海上でジンバブエの船に積み替えても、証拠も何も残らないだろう。

 中国の「輸出品」といえば、先ごろ、薬品のマガイモノや毒物の入った製品を輸出し死者さえ出た事件があったが(たしか、中国は否定しつづけた)、許しがたいことだ。簡単には「公式声明」を信じる気にはならないほど、中国のイメージは悪くなっている。
posted by ろじ at 00:00| パリ | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月22日

中国からジンバブエへの武器輸出に対する抵抗

 数日前のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙が、中国からジンバブエへ輸出された武器が、アフリカは南アフリカの港に荷降ろしを拒否されている、と報じていた。拒否しているのは、南アフリカの政府でなく労働組合である。スポーツの祭典オリンピックを謳い上げる中国は、武器の商人なのだ(もちろん、ロシアなど「武器の商人国」は他の国々もいるが)。
http://www.iht.com/articles/2008/04/18/africa/18zimship.php 

 ジンバブエは、あのムガベの暴政で問題になっている。南アフリカ労働組合は「そこに送られた武器は人民を抑圧させるために使われる。それを憂慮する」と声明を出した。エライ!一方の南アフリカ政府は「我々は、武器であろうと中国とジンバブエ間の交易に介入はしない」という立場。

 以下は、今回の件に関する中国の声明。「武器販売に関して、常に、慎重で責任ある姿勢を持って」というのは笑わせられる。
中国とジンバブエは正常な交易関係にある。われわれは、武器販売に関して、常に、慎重で責任ある姿勢を持ってきたこと、そして、もっとも重要な原則は他国の内政には干渉しないということであると強調したい。
"China and Zimbabwe maintain normal trade relations. What we want to stress is, China has always had a prudent and responsible attitude towards arms sales, and one of the most important principles is not to interfere in the internal affairs of other countries," said the statement.
posted by ろじ at 00:00| パリ | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月26日

中国オリンピックとIOCの罪

 中国はオリンピックをやれる国なのか?

 この夏の北京オリンピックをめぐる、いやはっきり言って、この国で国際競技を開くことに疑義の声をあげる報道がさかんである。

 世界記録を出しているマラソンランナーが、空気汚染の激しい北京で走れば持病の喘息にマイナスにしかならないと参加を取り止めたり、スーダン・ダルフール問題を中国政府が悪化させていると米映画監督スピルバーグ氏が北京五輪の開閉会式の芸術顧問を辞退したり、ギリシアでの五輪聖火採火式の最中に「中国のチベット弾圧」に抗議する者が阻止しようとしたり、同じく弾圧問題で、フランスが北京五輪の開会式ボイコットを「考慮し」たり(サルコジにしちゃあ、なかなかやる)……と、ニュースを引用するのも煩瑣なくらいいろいろな出来事がたて続けに起こっている。

 わたしは、特に、中国の人権・環境問題と、その「食」製品に関する最近の問題だけでも、中国がオリンピックをやるのは20年早いと思っている。いくら持ち回りといえ、こんな状態の中国にオリンピックを託した国際オリンピック協会IOCの罪は、とても重いと思う。中国の人権問題や環境問題が数年でカタがつくと、IOCは本当に信じたのだろうか?(IOCが公正な視点を持たない困った「貴族」の集まりだというのは、前のサマランチ会長の時にも、大いに指摘されたものだが。)

 しかし、ものは考えようで、この時期に中国にオリンピックを許したのは、もしかしたらかえって良かったのかもしれないとも(アタマの四分の一くらいで)思い始めている。オリンピックくらいの口実がなければ、この中国が、人権・環境などのこの国を覆い尽くした暗く根深い問題を解決する気なんかには、決してならないだろうとも思うからだ

 ただ、毎日ニュースを見るにつけ、それも否定された気分になる。IOCは、このまま行けば、これらの問題に頬かむりしたまま、つまり真正面から対決することはなく(彼らにそんなことができるならば、最初からしているだろう)、なんとか開催しようとするだろう。IOCの「金持ち貴族」たちに政治的解決のイニシアティブをとる気なんてないと思う。(「このまま行けば」と書いたが、望みは、多くの国のボイコットや、さらに上の国際機関からの圧力であろう。)
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月21日

ベルグラードでアメリカ大使館襲われる

 夜、CNNでニュースを観ていたら、セルビアのベルグラードでアメリカ大使館が、デモをしていた群集(若者たち?)に襲われているのが実況で報じられていた。若者たちがアメリカ大使館に火をつけ、建物によじ登ってアメリカの星条旗を引きずりおろし、旗に火をつけるシーンが生で放映されている。(もっとも、同じをシーンを何度も映すので、どこまでリアルタイムかは分らないが。)

 CNNのニュースは、ずっとこれだけ。もちろん、アメリカがコソボ独立を支持したためである。そして、それには裏があるとの国民感情があるのかもしれない。

 不思議なのは、画面のなかに警察隊の姿がほとんど見えないことだ。これだけの「暴徒」(CNN)が外国の機関を襲い、非常な事態になっても、当局のとおぼしき車が一台、大通りを走るだけである。群衆がやりたい放題である。

 これは、セルビア当局に群集とかなり同じ感情があるか、群集のガス抜きを狙っているかのどちらか(あるいはその両方)だろう、と思った。CNNにゲストとして登場したジョージア州立大学の教授も、やはり似たようなことをコメントした。曰く「こんな事態になっているのに、警察隊がまったく見当たらない。そもそも当局が許したデモなのに、当局の反応が遅すぎる。こうした事態が起こると予測できなかったとは、考えにくい……

 やがて、編隊を組んだ装甲車(?)が、サーチライトを揚げて列を作ってゆっくりとやってきた。しかし、ただ通り過ぎるだけのように見える。直後、機動隊のような盾を持った一団が、横一列になって歩いてくるが、大きな衝突は見られない。
“出来試合”だったか――。

 しかし、アメリカがどう出るか――。

 その後、21日付けのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙を見たが、その直感は当たっていたようだ。セルビアとコソボの国境付近で、国連の管轄するチェックポイントがセルビア人に破壊されたそうだ。しかも、それはかなり組織的なものだったそうだ。国境付近の村では、セルビア人とアルバニア人の混合警察隊から、アルバニア人が追い出されたという。
An ethnic standoff in northern Kosovo
http://www.iht.com/articles/2008/02/20/europe/kosovo.php
 そのIHT紙の一面には、国境付近に“威嚇デモ”のために武器を取って集まったセルビア人グループを、フランス軍がストップさせている写真が載っている。情況は、一触即発へと向かっているようだ。
posted by ろじ at 00:00| パリ ☁| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月08日

ブット元首相暗殺と「カミカゼ」

 先月の27日、パキスタンの首都イスラマバード近郊のラワルピンディで支持者らの集会に参加したブット元首相が暗殺された事件は、フランスでも大々的に報道された。その後も、容疑者や犯人についての報道が続いた。パキスタン大統領が「ブット元首相暗殺は本人の責任」と述べるなど、現政権の責任逃れともいえる発言も報道されている。

 この事件が起きた時、ここフランスのテレビは「カミカゼ」という表現を使った。さかんに使われ、手に負えないテロという風に聞こえる。「カミカゼ」という言葉はこれだけでなく、中東の“自爆テロ”の時にもほとんどいつも用いられる。日本人としてちょっと落ちつかくなる言葉ではある。もちろん、聞いた人でそれが日本語であることを知っているフランス人が何人いるか知らないけど。

posted by ろじ at 00:00| パリ | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月24日

ベルギー内情悪化と、イギリスの肥満児問題

071023ベルギーで言語間衝突が激化.jpg

 ユーロニュースから。ベルギーで言語間衝突が激化。上の写真は、フラマン語とフランス語が共存する地区で、フランス語が消されている標識。事態はかなり深刻らしい。下に元のニュースを引用(訳さず申し訳ない)。

 実は、「フランス対アルゼンチン」の3位決定戦試合の日、あるビストロで食事をしていたら、隣に座った男性二人がベルギー人だった。なにかのきっかけで話し始めると、とても親切な人々で、食後にこちらにお酒をふるまうから話を付き合ってくれないか、と言った。その日のラグビーの試合を観に、ブリュッセルから車で4時間半かけて来たという。

 話が、ベルギーの政治状況のことになると、二人はくらい面持ちになった。一人は南のフランス語圏、もう一人は北のフラマン語圏出身で、二人ともブリュッセルで働いているという。以前は、ブリュッセルが経済的な力を持っていたので、「言語的な違い」=「アイデンティティーの違い」にもとづく地域的対立を抑えていることができた。

 ところが、近年、フラマン語圏が経済力が強くなるにつれ、独立を訴えるようになったというのだ。


Linguistic differences expose tensions in Belgium

There has been another tremor along the linguistic fault lines that divide Belgium. On this occasion it was the use of French rather than Flemish at a number of council meetings that caused the tensions. Flemish extremists vented their fury on francophone politicians attending the meetings in three suburbs of Brussels.
・・・・
As the Francophone population increases around Brussels, they are coming under increasing pressure from regional Flemish authorities to use their language. It is one of the issues that has contributed to a political stalemate in the country as a whole.
http://www.euronews.net/index.php?page=info&article=449944&lng=1
************************
もう一つもユーロニュースから。
 イギリス、ヨーロッパで一番病的な国に。食飲酒タバコ、すべてが原因だそうだ。アメリカに負けない不健康国になったのか。

Report gives image of Britain on the binge
http://www.euronews.net/index.php?page=info&article=449943&lng=1
posted by ろじ at 00:00| パリ | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月08日

レイプされる女たち(コンゴ)

むかし、ジャーナリストの方が「○○じゃあ、ニュースに(あるいは、記事に、話題に)ならない」というのを、直接にまたは間接に聞いたことがある。その時は、「この野郎たち、なに考えてんだ」、と思ったものだが、今は、その社会的影響みたいなことをよく考える。

今日、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙を覗いていたら、衝撃的な記事が目に飛び込んできた。

コンゴは、目下、ギャングや私設軍隊がばっこする無政府状態で、政府軍どころか国連軍さえもどうもできないありさまなのだが、そこで、女性たちが、すさまじいレイプ、奴隷化の犠牲になっているという。

読んだ自分の目が信じられないような、内容である。若い女たちのクビを紐で木に縛りつけ、したい時にレイプするだけではなく、しまいには下半身を杭でグチャグチャに傷つけるという。子どもも平気で殺す。

In Congo, an epidemic of rape
http://www.iht.com/articles/2007/10/07/news/congo.php

BUKAVU, Congo:
Denis Mukwege, a Congolese gynecologist, cannot bear to listen to the stories his patients tell him anymore.

Every day, 10 new women and girls who have been raped show up at his hospital. Many have been so sadistically attacked, butchered by bayonets and assaulted with chunks of wood, that their reproductive and digestive systems are beyond repair.

"We don't know why these rapes are happening, but one thing is clear," said Mukwege, who works in South Kivu Province, the epicenter of Congo's rape epidemic. "They are done to destroy women."
・・・・
"The sexual violence in Congo is the worst in the world," said John Holmes, the UN undersecretary general for humanitarian affairs.
・・・・
Honorata Barinjibanwa, an 18-year-old woman, said she was kidnapped from a village that the Rastas raided in April and kept as a sex slave until August. Most of that time she was tied to a tree, and she still has rope marks ringing her neck. The men would untie her for a few hours each day to gang-rape her, she said.

この記事はショッキングだった。しかしもっと心に感じたのは、次のことだった。この記事は、日本では紹介されていないようだ。日本人が、日本のメディアで知らされていない国際的事実は山ほどある。ヨーロッパに来て、毎日、それを痛感している。もちろん、多くの日本人は関心もないのかもしれない。

以前、フランス語のクラスで、「検閲」について議論したことがある。難しいテーマにもかかわらず、そこにいたスイス人、ドイツ人、アメリカ人、北欧人、ナイジェリア人たちは、おのれの拙いフランス語をものともせず、この社会的問題に関してなんとか自分の持っている意見を言おうと必死であった。みな、それ自由にかかわる重大な問題だと、(それぞれの例を挙げて)言いたかったのである。

しかし、こういう場合、日本人では、言いよどむか、「わからない」「そんなこと、考えたことがない」とだけ応えたる人が多いのではないだろうか。これまで、アメリカとフランスで多くの日本人と出会ってきた経験からそう思うのである。もちろん、この場合、日本人がそこにいてこの“難しい問題”を論じなくてはならないのはタマタマの偶然に過ぎない。しかし、日本人が、スイス人やナイジェリア人のように「自分の考えを述べられない」のは、決して偶然ではないような気がするのだ。

それは、かれらが平和すぎる国にいるからなのか、いや、世界で起こっていることに無関心だからなのだろうか……。その原因の半分以上は、「ニュースに(記事に、話題に)なる」事件しか取り上げない日本のメディアにもあるだろうと思う。

(ミャンマーで、写真家の長井さんが射殺された。そして、ほとんど初めてであるかのように、彼の仕事が、「長井氏の仕事」として脚光をあび、ものすごい話題になったという。賞賛するものまでいるんだそうだ。もちろん、事件として死ぬ以前は、こうした地道な活動をするカメラマン達は、ほとんど喰えない生活を送っているのだろう。これも、上のような大メデアの姿勢と無関係でないと思う。)
posted by ろじ at 00:00| パリ ☔| 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月07日

マザー・テレサも神の存在を疑ったか……

この記事は胸を打った。「聖人」に限りなく近いと言われたマザー・テレサにして、このありよう。ただ、正直いうと、驚かない。信じたくはないが、人間である以上、孤独に苦しみ、信仰に関して“揺れ動く”のはしょうがない気がする。

……って、ズボラで、生臭さで、「聖人」にはほど遠いオレが言えることでもないが。
**** 

posted by ろじ at 00:00| パリ | 国際・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。