2009年02月04日

中国、ヨーロッパに接近

 アメリカで、政府の救済援助を受けようとする銀行のトップが高額のボーナスをみずからに支給しようとして、オバマ大統領から「まったく恥ずべきこと(Shameful)」と怒られたそうだ。当たり前だろう、常識で考えれば分ると思うが、アメリカ人ビジネスマンのグリーディーさはそこまでいっているということか?
 彼らの感覚はどうなっているのだろうか。一つ言えることは、前政権はこういう精神風土を少なくとも金融界に養ってしまった、ということだ。

 さて、中国の温家宝首相がイギリスを訪れている。ヨーロッパと経済関係を結びたい中国と、強いマーケットの中国が欲しいヨーロッパが接近している。ヨーロッパを歴訪している温首相の最後の訪問地が、イギリスだ。テレビでは、ブラウン英首相やブレア元首相が温首相と、にこやかに握手する映像が流されていた。相手が「金があり、金になる」国ならば、人権抑圧があり、製品に有害物質が入っており、またそれらの解決ができていなくても、背に腹は代えられないということなのか。

 今週火曜、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙の一面に、金が溢れる中国で国外に金が流出し始めた、という記事が出ていた。海外(例えば、アメリカ)への投資が増え始め、リッチからさらにすごいリッチになった人々は、投資のためにダイヤモンドを買いあさっているという。
Concern as money moves out of China
http://www.iht.com/articles/2009/02/02/business/yuan.3-421355.php 

 そして、その記事の直ぐ隣に、中国国内でたいへんな数の移民労働者の失業者が出たという記事が載っている。公平な目配りの行き届いた編集だと思う。日本のどこぞの新聞は、IHT紙の爪の垢でも……新聞に爪がないのが悔しい。
20 million migrant workers in China can't find jobs
http://www.iht.com/articles/2009/02/02/business/china.4-421450.php 

 1億3千万人いる(中国国内からの)移民労働者のうち、約2千万人が職を失い、地方に帰らざるをえない状態だという。これらは主に、中国の製造業を支えてきた低賃金労働者である。

 この記事の中で、温首相は、国内にも現状ゆえに不満・苛立ちを感じている人々がいるが、と指摘した後でこう述べた。
  「私は、信頼と、協力と、責任を求めている。そうずっと求め
  続けているのは、そうすれば、世界を救えるからだ」。

「世界を救える」――ここまでいくと、プロパガンダめいて白々しい。記事は、ケンブリッジ大学で講演中に聴衆から靴を投げられたことも報じている。

 中国国内では、政府の政策に不満をもつ人たちの“暴動”が続いているという。記事から
「中国政府は、年間の社会的暴動――中国政府は「集団的紛争(事故)(mass incident)」と呼ぶ――の正確な数を、もう数年も発表していない。しかし、海外メディアによれば、失業者が増えるにつれて抗議の数は増え続けている」。

 ブラウン英首相と温家宝首相は、「保護主義の阻止」という共通点を前面に出している。
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2008年03月03日

メドベージェフ氏、大統領に

プーチンのためのメドベージェフ1

明らかな出来試合というか、やらせというか、ロシア大統領選でメドベージェフ第1副首相が圧勝したが、国際世論はしっかりと冷めている。

メドベージェフ氏が70%近い票を獲得したことにも、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙は、
「Medvedev secures election -- not role(メドベージェフ、選挙を確実なものに――役割ではなく)」
と、背後にプーチンがいることをはっきり皮肉っている。
以下の記事。ただし、インターネット版では、「Medvedev is victor in Russia election」と、違う見出しがついている。
http://www.iht.com/articles/2008/03/02/europe/russia.php

上の写真は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙の記事より。
Putin seeks big voter turnout to help successor
http://www.iht.com/articles/reuters/2008/02/29/europe/OUKWD-UK-RUSSIA-ELECTION.php
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2005年08月04日

テロとの闘い

世界中の新聞に目を通すことは(仮にコトバの問題がないとしても)忙しいわれわれにとって不可能だから、手にした新聞が外国の記事を訳して載せてくれているのはありがたい。

で、朝日新聞が、フランスの新聞「ル・モンド」の7月27日付の社説を訳して載せている。

これが、またフランス左派らしいというか、反アメリカ性クッキリというか、賛成するにしろ反対するにしろ、どこかの国の首相と違って論旨が明快で、小気味良いくらいである。

タイトルは「テロとともに生きる」。先日ロンドンで起きたテロについての考察だ。

このテロを外交で防ごうとしても無理だという。過激派テロが
「闘い対象としているのは風俗習慣の自由、女性の地位、政教分離といった、民主主義そのものであるからだ。」
だから、「敵は常に『西洋』なのである。」
米国の姿勢もはっきりと批判される。
「米国のイラク介入は、過激派の恨みを増大させただけだった。アラブ・イスラム世界の市民の米国への憎悪をかき立て、テロの口実を与えただけだった。」
こうも言う。 
「これは、戦争ではない。戦争は片方が降伏するか、交渉が成立するかで終わりを告げる。イスラム過激派との闘いはそうではない。・・・多様な取り組みが必要となる。」
これは、「テロとの戦争」を強調するブッシュ大統領への、強烈な反論だろう。

「テロとの闘いを名目に我々の価値観自体を否定するようなことがあってはならない。自由の制限や拷問、法的手続きを経ない強制収容に、手を染める誘惑に屈してはならない。」これは、明らかに、アメリカ軍部のアブグレイブ収容所でおきたことを非難したコトバだろう。

アメリカは、「自由」と「民主主義」を標榜しているが、こういう論理に反対する議論をしたことがあっただろうか?
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2005年07月19日

英国がテロにあった理由

英国が最近テロにあったのは、アメリカの政策に追従してきたためである、とする見方が専門家によって発表された。

ワシントン・ポスト紙が報じている。チャタム・ハウス(Chatham House)(別名、国際問題王立機関(the Royal Institute of International Affairs))という、国際的にも権威のある調査機関が発表したレポートは、今回のテロは、英国がイラク戦争などに関してアメリカと対等の立場でなく、「アメリカに運転を任せて後部座席に座っていた(as pillion [back-seat] passenger)」ためだと表現した。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/07/17/AR2005071700995.html

その点では、日本も同じく、「アメリカの運転する車の後部座席」に座っていたはずだ。

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世界でのニュースが日本のメディアに載らないことは多い。隣の中国の事件でも、日本では無視されアメリカの新聞メディアで知ることもある。

以下のニュースは、その例である。公害問題に対して住民が暴動を起こし、それが力で制圧されたそうだ。
Riots in Shanghai Suburb as Pollution Protest Heats Up
http://www.nytimes.com/2005/07/19/international/asia/19china.html
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2005年05月25日

稚拙な日本外交

小泉首相と会談するはずだった中国の呉儀(ウー・イー)副首相が、急遽、会談を中止し帰国してしまった。中国側は、「国内の緊急の公務のため」と言ったらしい。それを、日本の閣僚や政治家は、「常識はずれのマナー」とか「人と人との最低限のつきあい方に反する」とか非難したそうだ。

恥かくから、ヤメときゃいいのに。

こういう大事な国とのやりとりは、ウラの外交ルートでまずちゃんとやらなくてはいけないんじゃないかい。いや、外交ルートなんて表のわれわれに見える方が少ないのだから、「ウラ」も「表」もないのだろう。そういうところでちゃんと筋が通っている(いた)ものを、裏切ったり壊したりして、相手側にいわば「イエローカード」が累積すると、ついには問題が「表」に出てくるんじゃなかろうか。

われわれ一般人に知れるニュース報道なんて、そんな氷山の一角でしかないと思うね。だとすると、そういう「事態の深さ」を省みず、ニュース報道された表面の出来事だけでアアダコウダ言うのは、外交の素人、それが言いすぎなら、外交の初心者扱いされても仕方ないんじゃないかねえ。日本の閣僚や政治家がやってるのは、そういうことだと思う。

そもそも事の成り行きは、小泉さんの、一種の「裏切り」からはじまったように思う。<中国側が日本側に示す(示したい)「イエローカード」>という観点から、振り返ってみよう。こういう相手(特に中国のような)の微妙な動きを読み取るのが外交の一部だと、素人ながらに思うわけだ。

しばらく前、小泉さんが靖国を参拝したとき、中国政府は不快感を表明した。そして、それはずっと昔からある「密約」に反する、と中国側は言ったのだった。その「密約」を、小泉さんは記者会見で、「聞いたこともない」と切り捨てた。聞くところによると、これは、日本の歴代の首相が認めてきた「了解」で、ジャーナリストの間では常識であるらしい。
  → 中国側、裏切られた思いで「イエローカード」(をわし掴み)

小泉さんは、にもかかわらず、自身の靖国参拝を弁護し続けた。
苦虫噛み潰した中国側だが、呉儀副首相の来日の約束は守った。しかし、小泉さんの中国の気持ちを逆なでするような発言は続く。 ↓下の5月17日の日記参照↓↓
  → 中国側、またも胸に込みあがる怒りを感じながら「イエローカード」(のポーズ)

呉儀副首相の来日中、事態はよくならず。かなり気を害して、そこで、呉儀副首相の帰国という策に出た(ように思う)。日本はどう出るか、と思いつつ?そこで出たのは、上のような、日本の閣僚や政治家の非難ごうごう。

中国側からすれば、それまでの成り行き上、デッドボールを軽いデッドボールで返したつもりだったのかもしれない。“さぐり”の変化球のつもりで(にしてもかなりのビーンボール気味ではあるが)。それをお互いの外交ルートで解決せず、「表」でギャアギャア騒ぐたあ、なんて未成熟なことするんや!
  → 中国側、「レッドカード」に限りなくに近い「イエローカード」を掲げる

てな感じだろうか。まったく、日本の閣僚や政治家のことを、裏表の使い分けのできんやつらだと思ってるかもな。
posted by ろじ at 23:15 | TrackBack(0) | 国際・政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月20日

戦争と子供

Girl looks up at an Uzbek soldier (Mikhail Metzel; AP 050519).jpg
カラスウ(Kara-Suu)のチェックポイントでウズベキスタン
の兵士を見上げる少女(AP通信、Mikhail Metzel撮影)

むかし、アメリカで、第一次のイラク戦争(湾岸戦争といわれたやつ)に行ってきたという元兵士に会ったことがある。
飛行機でレーダー係をやっていたと言った。
爆弾を落とす位置を測ったりもするのだと。

その彼は、もう20年以上も前に、パナマにも行ったという。
そこでは子供も敵になるのが辛かった、と話した。
子供でも、爆弾や武器を持ってる可能性があるのだという。
「お金をくれとかいって……、アブねえんだ」
そして付け加えた。
「子供をやるのは、辛い。でも、やらないとオレがやられる。」


アメリカが映画『スターウォーズ』の歓喜の中にいるとき、ウズベキスタンでは、多くの人が、ネズミのように殺されているという。

「避難民への銃撃見た」 ウズベク国境、住民ら恐怖語る
ウズベキスタン東部のアンディジャンで起きた騒乱で18日、武力弾圧を逃れた多数の住民が隣国へ避難しようと集まったフェルガナ地方のカラスウに入った。町ではこの日、ウズベクの国境警備兵が現場を放棄し、町はまるで住民の「解放区」のようになっていた。騒乱は国境の町にも波及、税関や警察署が市民の焼き打ちにあっていた。住民は口々に武力弾圧の恐怖を語った。
(中略)
 町には、アンディジャンでの暴動を政府軍が武力鎮圧した13日から翌日にかけ、避難民が殺到した。カラスウの市場で屋台を監督するアブドラさん(51)は、市場からやや離れた国境の川で国境警備兵が避難民に銃を乱射するのを見た。
 避難民が国境の川に次々に飛び込むと、国境警備兵らは一部ウズベク領の対岸から銃撃を加えたという。避難民がウズベク側に泳いで引き返そうとすると、待ち受けていた兵士が挟みうちにして、さらに銃撃した。
 多くの避難民は急流に流されていったという。「まるでネズミのように撃たれていた」とアブドラさんは肩を震わせた。
http://www.asahi.com/international/update/0519/001.html

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2005年04月11日

ウェブ・ジャーナリスト

ジャーナリストの常岡氏が、「国際ジャーナリスト」田中宇氏を批判している。(「2005/04/08 (金) 無知の知の告知について」http://www2.diary.ne.jp/user/61383/
田中宇氏のイスラム教やモスリムの理解に大きな誤解があるというのだ。
(田中宇氏サイト、http://tanakanews.com/f0407saudi.htm

田中氏の国際ニュース関係のメルマガは非常な人気で、16万部以上も発行されているそうだ。わたしも、アメリカにいた頃、複数の友人に「ぜひ読むべきだ」と勧められたことがある。それはちょうど「911事件」の直後で、氏の「911」後のアメリカに関する描写と分析をためしに読んでみたが、正直なところ、「うーん、どうかなあ」と感じるところが多かった。

やはりジャーナリズムという活動には、ネットなどの二次的間接的情報源に頼るのではなく現場の調査が欠かせないのではないか、と確信するようになったにも、そのとき以来である。(驚くべきことに、以前のライブドア自前ニュースという「ライブドア・ニュース」はそんなネット間接情報ばかりであった。)

もちろん、二次ソースの間接情報を使って物を書いてはいけないということではない。しかし、その時は、できるだけその出典を明記すべきだと思う。あるいは、常岡氏が言うように、書き手は「少なくとも、それぞれの執筆者が何について知っていて、何を知らないか、自ら予め断っておくことは必要」であると思う。最近のブログや日記による「ジャーナリスティックな書き物」にわたしが眉をひそめるのは、そういう書き物のほとんどに、そうした基本的な手続きがされていないと思うからだ。

(後記:田中氏の名誉のためにいうが、氏は引用や参考にしたインターネットのサイトアドレスを、リンクという形で明記している。問題なのは、無数にあるサイトのうち、どれが正しく本当の情報を伝えているか決断しにくいということである。グーグルで何かを調べて、どうしようもないページも含めた玉石混淆のリストを示された経験は誰しもあるはずだ。これは、時事問題(いわゆる新聞ニュース記事)についても同様。
 自分にしっかりした知識がないとき、一見、華々しい見てくれに騙されず、そのどれを正しいと判断できるのだろうか。しかも、もしかしたら、厳密に見て「本当に正しい情報」などウェブサイトには載ってないのかもしれないのだ。実際、インターネットというのは過渡期にあって、ある種の事柄については、まだ正確な情報は書物にしか載ってないことがあるようである。)
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2005年01月31日

思い込みの平和

またイラク・ネタで、恐縮だが。

昨日来、CNNはイラクの選挙を特集している。いまやインターネット時代ということで、CNNも時々視聴者からの意見をメールで受け付ける。で、お題は、
     「イラクは、アメリカ人の犠牲を捧げるに値するか?(Is Iraq worth American sacrifice?)」
はぁ?という感じですねぇ。頼まれてシブシブ行ったみたいなこと言ってますよ。

こういうアメリカの(あるいは政府よりを標榜しているCNNの)天真爛漫な思い込みは、まったく理解に苦しむ。まあ、これに応えて「アメリカ人は、イラクと人類の平和のために戦ってんだぜぇ」というアメリカ人が多いのが、実は問題なのだが。

夜、テレビ朝日の「報道ステーション」で、イラクのあの町、ファルージャの状況を伝えていた。この町は選挙どころではない、という。アメリカ兵に連れて行かれた現地人が、死体で帰ってきているのだ。その4割は民間人(女、子供、老人を含む)だと、現地の人は言う。頭の後ろから銃で撃たれた跡のある死体もある。死体を焼く煙の向こうに、今日も空爆の白煙が上がる。

テレビ朝日の報道が本当だとするなら(こうした映像を、まったくのデタラメで作るのには限界があるのではなかろうか)、アメリカ礼賛をしている○○君、きみは、こうしたことをちゃんと説明ができなくてはいけない。
小泉さん、あなたもですよ。
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